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米財務省OFAC、フェンタニル入り偽造薬を供給したインド人2名とオンライン薬局を制裁
2025年10月27日
2025年9月24日、米国財務省外国資産管理局(OFAC)は、大規模な偽造処方薬の流通ネットワークの運営に関与したとして、インド国籍の個人2名と関連企業に対し制裁措置を講じました。
今回の制裁措置は、米国で深刻化するオピオイド危機、特に合成薬物危機を直接的に煽るサプライチェーンを標的とした、OFACの広範な取り組みの一環です。
1. 制裁の対象者と犯罪の概要
制裁対象となった個人・組織:OFACによって制裁対象として指定されたのは以下の通りです。
- Sadiq Abbas Habib Sayyed(インド国籍)
- Khizar Mohammad Iqbal Shaikh(インド国籍)
- KS International Traders:Shaikh氏が所有し、「KS Pharmacy」としても知られるオンライン薬局
偽造薬の実態
OFACによると、彼らは数十万錠に及ぶ偽造処方薬を流通させる大規模ネットワークを運営していました。これらの錠剤は、一見すると合法的な医薬品として販売されていましたが、実際にはフェンタニル、フェンタニル類似体、メタンフェタミンといった危険な物質が混入されていました。
これらの致命的な偽造品は米国内の購入者に向けて発送され、同国のオピオイド危機を深刻化させていました。
2. ネットワークの手口と資金の流れ
偽装と通信手段
Sayyed氏とShaikh氏は、ドミニカ共和国および米国内で活動する麻薬密売人らと共謀し、偽造医薬品のための国際的なサプライチェーンを確立しました。
- ・彼らは自らの製品を「合法的な医薬品の割引版」であるかのように偽り、安全な医薬品を購入していると顧客を欺いていました。
- ・摘発を逃れるため、彼らは暗号化されたメッセージングプラットフォームを多用していました。これは犯罪仲間とのコミュニケーションだけでなく、米国の購入者への不正製品の宣伝や販売にも使われていました。
暗号通貨による資金洗浄
今回の執行措置の一環として、OFACはSayyed氏に結びつく暗号通貨ウォレットも指定しました。これは、このネットワークが薬物密売に関連する支払いを行い、収益をロンダリングするために、デジタル資産に強く依存していたことを明確に示しています。
3. 合成薬物サプライチェーン全体への警告
OFACの今回の措置は、合成薬物取引のサプライチェーン全体を標的とする広範なキャンペーンの一環として位置づけられます。
- ・サプライチェーンの各段階への制裁:OFACは近年、フェンタニル前駆体を製造する中国の化学メーカー、完成品を流通させるメキシコやドミニカ共和国のネットワーク、そして今回、殺傷能力のある麻薬を混入した偽造薬を供給するインドの関係者を標的にしています。
- ・インドの役割: インドは医薬品生産の世界的リーダーであり、そのサプライチェーンはAPI(原薬)の大部分を供給する中国に大きく依存しています。今回の制裁は、インドもまた、フェンタニルなどの違法な合成オピオイドやアンフェタミンの前駆体を製造する上で、能力と潜在的な役割を持っている可能性を浮き彫りにしました。
OFACは、制裁と暗号通貨ウォレットの特定を組み合わせることで、フェンタニル流行の背後にある化学物質の投入と、その資金の流れの両方を追跡し、阻止していくという明確な姿勢を示しています。

4. TRM Labsの役割
TRM Labsは、世界の法執行機関および規制当局と協力し、国境、ブロックチェーン、およびサプライチェーン全体にわたるこれらの違法ネットワークのマッピングに取り組んでいます。
- ・データ分析の活用:TRMのデータと分析ツールは、デジタル資産が収益の移動やロンダリングにどのように使用されているかを露呈させ、捜査官やコンプライアンスチームに実用的なインテリジェンスを提供しています。
- ・今後の取り組み:TRMは今後も、中国およびインドにおけるフェンタニル前駆体生産に関与するエンティティの調査範囲を拡大し続け、世界の合成薬物取引を可能にするネットワークの解明を支援していきます。
世界的な合成薬物危機は国境を越えた問題ですが、それに対抗するために導入されているTRMツールもまた、グローバルに対応可能なものとなっています。
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